こんにちは!ヒーリングサロン・ル プランタンへようこそ。
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本日は、心理的境界線のお話⑥「見捨てられ不安」についての話題です。
この問題は、恋愛の悩みの中でも大変大きな部分を占めていて、「境界性人格障害」といった病気の大元にもなっています。
今日は、私たちが誰かと特別親密な関係を築く時、必ずといっていいほど直面するこの不安と、関係を継続する上で起こる、様々な問題に対処する方法、そして、残念ながら関係が終わってしまったときはどうしたらいいのかについて、お話ししたいと思います。

【見捨てられ不安とは】

私たちの中には、子供時代に親に充分受け止めてもらえなかった思いから「見捨てられ不安」が特に強い人がいます。
「見捨てられ不安」は、健康で親密な関係を維持するための妨げとなります。
というのも、相手が少しでも自分と距離を取ろうとするのを感じると「見捨てられる!」と感じて、パニックに陥ってしまうからです。
相手の境界線を認めることができず、相手と一体化することでこの不安を沈めようとします。
相手は自分を侵食されたと感じ、ますます距離を取ろうとします。
すると、捨てられることを避けるために自分から関係を壊したり、自傷行為などで相手を引き止めようとすることもあります。
こうして、結局は関係が壊れることが繰り返されるので、「どの人も私を見捨てていく」と言う思いが強まっていくのです。
 
本当は自分を「全て」受け止めてほしいのです。
自分の中の小さな子供が、寂しがって泣いているのです。
けれど、その子供をしっかり抱きとめてあげられるのは、他の誰かではなく、自分自身です。
 
大人同士の関係に「あなたの中の子供」を座り込ませるべきではありません。
子供がパニックしそうになったら、あなたがしっかり抱いて安心させてあげ「後でゆっくり気持ちを聞くから今は大人の私に任せて」と言い聞かせれば良いのです。
大人同士の親密な関係は、お互いの境界がしっかりしていなければ育っていきません。
言い換えれば、どんな相手にも限界があり、その人自身の時間や空間や過去の歴史があり、全て自分のものになると言う事はないということです。

あなたの見捨てられ不安について振り返っていきます。
 
・あなたは誰かから見捨てられる不安を感じることがありますか?
・それはどんな状況の時ですか?
・その時あなたはどんな行動をとりますか?
・今まで実際に、あなたを見捨てた相手は誰ですか?それはどんな風に起こったのですか?
・自分の不安からあなた自身が壊した関係はありますか?それはどんな風に起こったのですか?

 
【関係に伴う問題を解決する】

何も問題が起こらないのが親密な関係と言うわけではありません。
問題をどれだけオープンに早く話し合えるかが、親密さを図る1つの物差しです。
問題をお互いに見て見ぬふりをしたり、一方だけが解決するのに奔走するのではなく、話し合って共に解決できること、それが関係が機能していることなのです。
普段の気持ちのやりとりの中でそれが自然にスムーズに行く場合があります。
しかし、問題をめぐって気持ちのこじれができて、自然なやりとりが難しくなることもあります。
そんな時は、きちんとした話し合いの場を設定することが有効です。
 
原則をあげておきます。
 
1.問題を解決したいと申し出て、相手の合意の上で話し合いの場を設ける。
2.どちらも解決を望んでいると言うことを、もう一度よく確認する
3.解決のために考えられるあらゆる方法と、どんな結果が予想されるかをお互いに出し合ってみる。なるべくたくさんの選択肢を挙げてみる。
4.どの方法が適切か、意見を出し合う。なぜそう感じるのか、なるべく気持ちをやり取りする。相手の話を聞くときは、言葉の表面にとらわれず、奥にあるものに注目する(アクティブリスニング)。話す時は私を主語にする。
5.合意が得られるまで話し合う。あるいは、 関係を終わらせる。

関係の修復が間に合わず、破綻してしまう関係もあります。
その一方で、お互いがオープンに話あっても、終わる関係もあります。
2人の人間関係の作り方がおかしいわけでもないし、コミニケーションが下手なわけでもない。
関係が不健康だったわけでもない。
それでも、お互いの選択を尊重し合った上で、最も良い結論として、関係を終わらせることもあるのです。
 
【関係を終わらせる】 
 
どんな終わり方であろうと、関係の消滅は両者に痛み(グリーフ)を残します。
相手を失った痛み。
相手と共に過ごす時間を失った痛み。
相手と共に作ってきた場所(家庭など)を失った痛み。
関係の未来を失った痛み…

不本意な終わり方であればもちろんのこと、たとえ2人のオープンの話し合いの上で出した結論でも、あなたが自分の方から終わりを宣言したとしても、喪失の痛みは残るものです。
それを、健康な方法で癒し、関係の終わりと言う現実を受け入れていくことが必要です。
この作業を「グリーフワーク」といいます。

次のことに注意しましょう。
 
・自分を責めない
・自分に十分な休息の時間と愛情をあげる
・悲しみを安全な場で表現する
・他の関係にのめり込むことで悲しみを埋めようとしない
・アルコールや薬物などで悲しみを埋めようとしない

悲しみはきちんと表現し、時を待つことで、やがて薄れていくものです。
使い方を間違えると危険を招きます。
悲しみや怒りに振り回されて、この人生を困難なものにしてしまいます。
悲しみをうまく乗り越えていくことで、新しい人生、新しい間下へと踏み出すことができます。

過去に破綻した関係、終わらせた関係について振り返ってみましょう。
 
・それはどのように終わったのですか?
・その時のあなたの気持ちは?
・気持ちをどのように乗り越えましたか?誰かに気持ちを表現しましたか?
・乗り越えるのにどれぐらいの時間がかかりましたか?
・その関係からあなたの学んだことはなんですか?
 
……
「この人ならわかってくれる」と思う人に出会うと、期待して、依存して、嫌われないように必死になって…そして失望する繰り返し。

こう話す人は、少なくありません。

「見捨てられ不安」があまりにも強く、日常生活に支障がある場合、医療機関での支援が必要ですが、人間は社会性の強い生き物ですので、常に自分以外の他者を必要とし、したがって、ある程度の不安というのは誰の心にもあるものです。

この不安は、他者との関係性を築く上で最初の元となる「母子関係」がうまくいかなかったとき、「分離不安」が生じて、後々「見捨てられ不安」となるといわれています。
だからと言って、今更母親を責めても、どうにもなりません。完璧な母などは存在しないし、そのときは、彼女にも彼女なりの事情があったのです。
ですので、今大人になった自分が、自分の中の子供「インナーチャイルド」を愛し、癒すことがこの不安を和らげる唯一の健全で現実的な方法になります。

「見捨てられ不安」は大変根深い問題ですが、少しずつ訓練することによって、パートナーとより良い関係を築くことができるようになりますよ。

いかがでしたか?
次回は、「インナーチャイルドと仲良くなる」についてのお話です。


参考文献:アダルトチャイルドが人生を変えて行く本